硝子戸

毎日の中で感じたことや興味を持ったことなどを書いていきます。

服飾文化講座「イヴ=サンローラン」⑥

さて先週に続き、サンローラン全盛期の代表的コレクションを紹介して行きたい。最後はこちら。

 

1976年 ロシアンコレクション


▼サンローランはロシアが好きだったと言われています。彼が最初にロシアにであったのは、まだでディオールのチーフデザイナーとしてキャリアをスタートしたばかりの1959年。クリスチャンディオール社に当時のソヴィエト連邦貿易省からモスクワでファッションショウを開いて欲しいと公式な招待があり、彼は発表したばかりのトラペーズラインのドレスなどをを引っさげ、6月にゴーリキー公園で作品を披露したのでした。これにより、サンローランはディオール社の名の元にではありますが、西側世界で初めて、ソヴィエトでファッションショウを開催したデザイナーとなったのでした。…とすっぱり書きたいところでなんですが、実は他の記事によると、1965年に既に英国のデザイナーグループが同じゴーリキーでショウを行ったという記録もあるんです。うーん、単独のメゾンでここまでやったのは彼が初めてだったということでしょうか…


ショウの他、モデルたちはフォトセッションのためにグム百貨店、赤の広場、地元市場とあちこち散策し、市民と交流を持ったようです。とにかく、どこへ行っても人、人、人!モスクワっ子たちの反応が面白いですね。

Photographed by Howard Sochurek for LIFE Magazine

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Photographed by Howard Sochurek for LIFE Magazine
(出典 / すべて写真:Howard Sochurek for LIFE Magazine)


▼当時のモスクワの写真がもっと見たい方はこちら!

 

▼残念ながら、サンローラン自身の向こうでの写真が見つからなかったのですが、彼はこれを機に、ディアギレフのロシアンバレーなどでもともと持っていたロシア文化への興味がさらに深くなり作品への影響も増したと言われています。それが最大限に発揮され、ロシア一色になったのが、1976年のロシアンコレクションです。


これはショウのためのデッサン。彼はディオールと同じく本当に絵が上手ですよね。ただ、ディオールはデザイナーとしてすばらしいデッサンを描くのみだったのですが、サンローランは本人が生粋の服作りの職人、テーラードだったんです。

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▼サンローランは色の魔術師とも呼ばれていましたが、シックな中にも冴えた色彩が美しいですね。この時代、サンローランに限らず世界的にこういう大きなシルエットのドレスやマントが流行していたようです。

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▼こちらはもっとエスニック色の強いライン。右側のおかっぱの女性は、我らが日本代表のスーパーモデル、故・山口小夜子さんでしょう。

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(出展 / 3枚ともすべて:Не иди по следам древних, а ищи то, что искали они.)

https://myllirina.dreamwidth.org/333276.html

 

▼1973年には世界的バレエダンサー、マイヤ=プリセツカヤの「病める薔薇」のコスチュームもデザインしています。

museeyslparis.com

 

最後のまとめはこの動画で。

さて、一応サンローランの40年のクリエイションの中から、代表作品の紹介は一応ここまで。

 

2002年彼は71歳でオートクチュールメゾンを閉鎖し、引退した。後はアパレル部門として既製服ライン「イヴサンローラン・リヴゴーシュ」と、化粧品部門「イヴサンローラン・ボーテ」が残されることになる。

同年1月にパリで開かれた最後のコレクションは、まさに彼の長い長いキャリアの一大回顧展の様相となり、当時のスーパーモデル、往年の顧客やファッション関係者が一堂に会した壮大なものとなった。

 

▼とーっても長い動画ですが、ショウの様子はこちらからご覧になれます。講座でも見せて頂いたものです。音楽も楽しいですが、スーパーモデルファンだった私は、懐かしい彼女らの姿にも興奮してしまいます。ショウはもちろんピーコートからスタート。今日まで紹介した代表的な作品も網羅されています。

www.youtube.com

さ、今週は3時間ほど作業したものを全部消してしまうという大失態を犯したのですが、なんとか復旧できました。それではみなさま、ごきげんよう、さようなら。

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